自分の仕事をつくる
様々な職業(とは言っても、デザインに関する職業が多い)の人々が仕事に対する取り組む姿勢のようなものをインタビューの中で語っている。そこには、自分がなんとなくぼんやりと理想としていたようなことに近いことを語る人もいて、
以前、ある講座のようなところで話す機会があった時に、自分の目的はなんだろうって、あらためて考えてみたんです。すると、パンそのものが目的ではないな、という気持ちが浮かんできた。目的というとおおげさですが、みんながこう幸せにというか、気持ちよくというか、平和的にっていうんでしょうか。そんな気持ちが伝わっていけばいいかなって思うんです。
「自分の仕事をつくる」p.169
パンは手段であって、気持ちよさだとか安らぎだとか、平和的なことを売っていく。売っていくというか、パンを通じていろんなつながりを持ちたいというのが、基本にあるんだと思います。
そのいっぽうで、過激だなぁと感じるのもあり、
モノをつくる以上、それが永久に存在するようなつもりでつくっています。せめて十年ぐらいは長持ちするようにつくられていなかったら、意味がないと思っている。三年や五年おきに新しくモノをつくりたくない。…中略
「自分の仕事をつくる」p.178~179
あまりゴミをつくりたくないだけ。それ以外には何の理由もありません。いいモノだから寿命をのばしたいというわけでもない。
木を切ったり鉄を掘り出して、すごいお金やエネルギーをかけるのだから、ずっと使ってもらえるものじゃなかったらつくる意味がない。ほんの数年間のために何かを作り出すなんて、止めたほうがいい。考えるのももったいないし、私はあまりそういうことに時間をかけたくないんです。(笑)
仕事に対する志の核のようなものを各々もって仕事をしていることは変わりなくて、インタビューでの彼らの言葉にはこういう気持ちは簡単なことでは揺らぐことがないだろうというような自身のあらわれのようなものを感じることができる。それは、自分には遠い高い存在にも思えたが、何年か後には自分の言葉で語れるよう今のもやもやとしたものを
突き詰めて考えながら仕事をしていきたいと思う。
- 作者: 西村佳哲
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