知的生活を求めて

自分がいつの間にか年のせいやら何らかの理由をつけてあきらめていることがあるということに気づかされた。たとえば記憶力(暗記力)。自分はもう若くないからと暗記することから逃げていた気がする。この本の著者は60歳頃からラテン語の暗記に取りかかった。

このような具合で、還暦の二、三年前から十年ほど、「車に乗ったらラテン語暗記」を続けてきた。
…中略
ところが数年前のことである。本を整理していて、たまたま昔の朗詠用の詩集をぱらぱらめくっていたら、菅原道真(天神様)の七言律詩「秋思詩」(正確には「九日後朝、同腑 秋思 應制」)が目にとまった。二十五年前も前に朗詠したことがあったが、諳誦はできず、テキストを見ながら詠んだものだった。それを今度はちょっと読んだだけなのに、ふと気づくと、どうも全部覚えているらしいのだ。紙に書いてみると、大体あっている。これはどうしたことだろうか。

「知的生活を求めて」p.310~311

ラテン語に限らず、暗記力そのものが向上しているのだ。なんと勇気づけられることだろう。
そして、長い時間繰り返しやり続けなくては成果はなかなか出ない。今の時代なのか自分の性格なのか、なんでもすぐに結果を求めてしまいがちだけれど、これからは10年スパンで物事に取りかかることも考えていこうと思う。

知的生活を求めて

知的生活を求めて